Masafumi Toyoda Countertenor
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Q&A
ありがたいことに、これまでに色々な質問を頂きましたので一部を紹介させていただきます。
Q1:どうやってカウンターテナーの声を発見しましたか?
A: クラシック音楽に出会うまでは元々ポップスやR&Bを歌っており、この頃から裏声を多用する曲が好きで、そういった曲ばかり歌っていました。この時点では平凡な裏声と言わざるを得ないようなレベルでした。カウンターテナー、クラシック歌手になる一番のきっかけになったのはソプラノのボイストレーナー市村氏にレッスンを受け始めた事です。高音を歌う時どうしても力んで歌う癖が抜けず、先生に「試しに裏声で歌ってごらんなさい。力まずに歌えるはずだから、その時の感覚を覚えて高音を歌ってみて」と言われ裏声で歌った時、カウンターテナーの可能性があるのでは?と先生に言って頂いたのがきっかけです。人前で目立つ事しか頭になかった当時の私は、これで人前でより一層目立つことができる!と結構ノリノリでした。
Q2:すぐにカウンターテナーとして歌う事ができましたか?
A: いいえ。その時は裏声だけでメロディーを歌うことは全くできませんでした。ポップスでちょこっと裏返して歌うのと、歌曲やオペラを裏声だけで歌うのとは全く別次元の話で、その当時は1音1音を悲鳴のようというか猿か何かの動物のモノマネでもしてるかのような、そんな感じでした。高音しか強い声で歌う事が出来なかったので、メロディーとして歌えるようになるまでには結構な時間がかかりました。
Q3:ポップスからクラシックへジャンルを変更することに抵抗はありましたか?
抵抗はそれほどありませんでした。 というのもクラシックをメインにやっていこうと決めてからも決して ポップスやR&B等のジャンルを諦めたわけではなかったからです。歌うことに関する基礎的な技術はどのジャンルでもそれほど変わらないはずですし、ポップスで生きていくにしても唯一無二と言えるような個性を身につけることは決してマイナスにはならないと思ったので楽しみながら裏声を勉強してました。ただスーツを来て直立不動で歌うことに関してはとても抵抗がありました。正直カッコイイというイメージは全くなかったです。
Q4 : バロック音楽、カウンターテナーについてその当時知っていましたか?
知っているような、知らないようなといった感じで、もののけ姫を歌った米良美一はTVで見たことがある といった程度でした。丁度その頃にソプラニスタの岡本知高がデビューしたかしないかといったぐらいだったので参考に出来る人たちはこの二人だけでした。 その当時はユーチューブにはまだまだ動画が載せられていないような時代で海外のカウンターテナーの動画を見ることもできなかったです。カウンターテナーやソプラニスタを意識することなくとりあえず、世界で認められているオペラ歌手のCDを聞くことから始めました。それまでクラシック音楽なんて聞いたことは学校の授業以外では殆どなかったので、慣れる事から始めました。
Q:5 : 男でありながら女の声で歌うことに抵抗はありますか?
特にないです。人と違うという事は それ自体その人の個性であり、生きている存在意義を感じれるものだと思ってます。 何より人と違う事をすれば目立てますしね!! どんな声であってもそこに血が通っている心と魂があるのであれば、何にも問題ないと思います。声が高かったり、低かったりで悩んだりしている人もいるとは思いますが、平凡な人よりか個性がある方がよっぽどいいと思います。それこそ自分が自分として存在している立派な証だと思うんです。
それでも男性から女性に性転換したり、またその逆のケースで声に違和感を覚えてしまう人もいるとは思います。裏声をうまく練習すれば克服できたり、低音域を響かすように鍛えればまた克服できることもあります。最近は声帯をいじって声の高さを変える手術もあるようですし、解決方法は人それぞれだと思います。ただ声って最初に違和感を感じても、、すぐ聞き慣れてしまうものなんですよね不思議と。自分ほど他人は気にしてないなんてこともまた良くありますしね。個人的には天から与えられたモノを可能な限り自分で受け入れる。結局は心の持ち方だと思うんですけどね。それでも自分の持つコンプレックスってなかなか克服するのは難しいですけど。
Q6 : 正直な所、男性と女性はどちらが好きですか?
これは一番多くされる質問です 笑 アメリカで芸術家でカウンターテナーで、という条件が揃うと質問をされなくても自動的にゲイだと思われることが殆どですが、皆さんの期待と予想に反して女性が好きであります。 生きるために必要なエネルギーを殆ど女性からもらっているといっても過言ではありません。 アメリカでは100%の確率で勘違いされるので、素敵な女性を目にすればあえて、あの子セクシーだな とか すごいホットだな!!と口に出すようにしています。ただ日本人の女友達の前でついつい癖でそういうことを言うと、チャラチャラした男だと勘違いされることもあります 笑。因みにこれまでにアメリカで会ったカウンターテナー7人のうち5人はゲイの方でした。彼らの男性的な力強さと女性的な繊細さの両方を持ち合わせたそのの表現力に正直かなう気がしません。
Q7 : カウンターテナーになりたいのですが、なれますか?
かなり多くの男性にはカウンターテナーになれる可能性があると思います。カウンターテナーが珍しいと言われるのは、、素材の少なさというよりは裏声を使う機会の少なさが要因だと思います。正しい方法で毎日訓練すればカウンターテナーにはなれる人はかなり多くいると思います。ただプロとして活躍するには声量と声の色、艶の質は大切なポイントとなってきます。珍しいだけでどうにかなる世界では決してありません。どの声種であってもプロになるというのは人並み以上に強くて熱い情熱が必要となります。将来の不安や自分の才能や可能性を信じきれない人は、プロではなく趣味で歌うことをお勧めします。 とにかく真っ直ぐで熱いモノが大切です。
Q8 : クラシック経験はないですが、カウンターテナーになれますか?
私もクラシックの経験は一切なかったです。楽譜も読めず、ピアノも弾けない状態で24歳の時にクラシックの世界に飛び込みました。なんとかなるさ、、というよりかはなんとかするという気合でプロを目指しております。
Q9 : 普通のカウンターテナーより高いソプラノ音域で歌えます。プロになれますか?
ソプラノで歌える男性はより希少だと思いますが、高い声が出るからといってプロになれるわけではありません。持ってる声をどれだけ使いこなせるかが重要になってきます。プロを目指す歌手は世の中に腐る程いるので、とにかく実力をつけることが大切になってきます。物珍しさでメディアに多少露出できたとしても、、実力がなければすぐバレてしまうと思います。珍しさにあぐらをかいてしまったら、どうにもならないかな。。かけるもんならかきたいですけどね、、、笑
Q10 : プロのカウンターテナーを目指しています、アドバイスをもらえますか?
これまでにカウンターテナーの卵達から何件もメールを頂きました。可能性があるのかどうか音源を聞いてもらいたい等々 色々ありました。 私が直接可能性があるかないかという事を断言することは決してないですが、音源を聞かせていただいて率直な感想やアドバイスを求められる時はさせていただきました。 どんなことでも構いませんので、質問、疑問があればいつでもメールをしてください。
Q11 : カウンターテナーになりたいのですが、何から始めたらいいですか?
とりあえず、歌のレッスンを始めてください。自分の声の音域に近い先生の方がいいとは思いますが、、別に全く違うパートを歌う先生であっても問題ない事が多いです。これもまた運ですね。。立派な大学で教えている先生が必ずしも良いボイストレーナーとも言えないことがあります。実力があって、ものの考え方が柔軟な先生がいいですね。地位はあっても偉そうで頑固で、考え方が古い人は個人的には絶対無しです。出会いは運です。いい先生と巡り会える運があることを祈ってます。
お勧め歌手を教えてください?
とりあえずお気に入り順に書いていきます。
NO1 Franco Fagioli
私が理想とするカウンターテナーです。下から上まで音域が広いことはもちろんですが、声のなかに男性のパーソナリティーがかなりハッキリと入っており、女のモノマネではなくこれがカウンターテナーだ!と示してくれたカウンターテナーの一人です。聞いていてとにかく興奮できるジェットコースターのようなそんな歌い方をしてくれます。
NO2 Xavier sabata
彼も男を全面的に出してくるカウンターテナーの一人です。響きの質は素晴らしく、無駄のない発声で本当に素晴らしいです。 歌唱法に強い癖もないので、絶対に参考にすべきカウンターテナーです。
NO3 Cecilia Bartoli メッゾソプラノ
バロック音楽 特にヴィヴァルディを歌わせたらNO1と言わざるを得ないその歌唱力はまさにモンスター。聞いていていて とにかく大興奮。 彼女にしか出せないその歌は聞くものを魅了する中毒性の高いものだ。ただ、、歌の参考にするべきかどうかは難しいところ。高い空気圧と空気量を持って歌うその歌唱法を下手に真似すれば 取り返しのつかない癖がついてしまいそうでこわい。
NO4 Nathalie Stuzmann コントラルト
女性とは思えないその力強い歌にはとにかく驚かされる。中途半端な男より彼女の方がよっぽど男を感じる。魂と気合のはいったその歌もまた癖になる。
NO5 Max Emanuel Cencici
バロックの世界観を本当にうまく表現してくれる素晴らしいカウンターテナーの一人。
テンポの速い曲ではとにかく興奮させられるその歌唱法はやはり世界レベル。ただ高音域での発声法、響きの範囲が狭いためアタックしているように聞こえるのであまり真似することはおすすめしない。ただし、綺麗に歌えたからといってバロック音楽が持つエキサイティングな部分を引き出せるわけではない。その点 Cenciciはとにかく素晴らしい表現をしてくれる。
NO6 Philippe Jaroussky
まさに天使とでも言うべき澄んだ歌声。コロラトゥーラの技術は一級品。 個人的にスローな曲が聴きたくなる歌手の一人。 テンポのある曲は非常にうまく歌うが、綺麗にまとめ過ぎてその歌に興奮させられることはあまりない。男声は少し変わった音色なのであまり聞きたい感じはしないが、とにかく芸術的に美しい。
NO7 Vivica Genaux
第二のバルトリといってもいいような世界観を持つ歌手。唇を震わせながら歌うのが彼女のトレードマークになっているが、その歌唱技術は誰もが到達できる領域ではない高い次元にある。
NO8 Andreas Scholl
NO1にしても問題ないレベルの歌手ではあるが、パンチ力を重視して順位付するとこうなってしまった。どこまでも広がり染み渡っていくような上質な響きは世界トップレベル。室内音楽を歌わせたら右に出るものはいないのではないか!?音域が低いアルトなので地声を使う頻度は少なめ。若い時の方がビンビンと響くポジションで歌っていたが、現在は一貫してマイルドテイスト。コロラトゥーラはその歌唱法によりパンチ力はないが超高速を可能にしている。絶対に参考にすべき歌手の一人。
NO8 David Daniels
これぞメイドインアメリカというレガート歌唱を見せてくれる。多くのバロック歌手はコロラトゥーラのメロディーを粒で歌う事がほとんどだが、ダニエルズや一貫してレガート歌唱法を用いる。発声にクセもなく大変勉強になる歌手の一人。ただ室内楽や宗教曲ではビブラートが入りすぎているのが若干気にはなる。
NO10 Joyce Didonato ソプラノ
歌唱法に全く無駄がなくとにかく綺麗に歌ってくれる。綺麗に歌うだけではなくバロック音楽に必要なアグレッシブなサウンドをしっかりと取り入れてくれているため非常に素晴らしい。
NO11 Yuriy Minenko
とにかくビンビンした響きを終始使った空気の流れを大切にした歌唱法。ビブラートが細かめなのも特徴。素晴らしい。
NO12 David DQ Lee
表現力がとにかく高い。オペラアリアのみならず、歌曲を歌わせてもピカイチ。
No13 Estyn Davies
宗教曲やパーセルのようなシンプルな曲はとにかく声が映える。減点するとこがないような真面目な歌い方故に オペラアリアは少しつまらない演奏になりがち。もっと荒ぶる何かが欲しいところだが、、シンプルだからこそ美しいものもまたある。
No 14 Bejun Mehta
アメリカを代表するカウンターテナー。バロック歌手のなかでははめずらしいレガートコロラトゥーラを使うのが特徴。レガートコロラトゥーラはなかんかスピードが出にくいのが特徴だが、彼は高速にこなすことができる。表現力も豊かで非常に丁寧な表現。音色は少し鼻にかかったポジションで歌うので、浅めの音色となる。
No15 David Sabella Mills
パバロッティコンペティションで賞をるなど、世界の第一線で戦える実力を持ちながら、名前はあまり知られていない。その代りブロードウェイミュージカル作品シカコでマリーサンシャインのオリジナルキャストであったためか、ミュージカル歌手としてその知名度は高い。New York Singing Teachers' Association代表を務め若手の育成にも尽力する。
その他
Julia Lezhneva 等々